2007年 07月 30日
岸田劉生の軌跡
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美術展が開かれていた。
明治-大正-昭和期に活躍、わずか38才の命だったが、その後の日本の近代美術の
展開に大きな影響を与えた画家の一人となった。
黒田清輝に学び、同人誌「白樺」での交友からゴッホやセザンヌを知り、印象派の
影響を大きく受ける。
その後ルネサンスやバロック期の絵画、特にデューラーの精密な写実画の影響を受け、
物や人物の有り様をそのまま捉えようとする「内なる美」の探求へと移っていく。
この頃に愛娘の麗子を題材にした絵画が多く登場する。
しかし一転して東洋的な美に魅力を感じて、中国の宋元画や南画、水墨画や版画へと
作品は移っていく。
そんな彼の作風の移り変わりを時系列にとらえて、油彩、水彩、水墨画、素描、版画、
関連資料などこの機会にしか見られないものが沢山。
「麗子像」をはじめて見たが、思ったよりも小さい絵で、また思ったよりも普通の絵。
美術の教科書などで見た時には少し奇異な絵と感じていたのだが......
麗子像のモチーフは彼の多くの絵の中に登場していて、それだけ彼は娘を愛していた
のだろう。
また、大正ロマンの漂う本の装丁画を多く手掛けていたのも新しい発見。
ここにも娘の影が見え隠れする。
久しぶりの美術館とても良かった、次の展示にも行かなくては....
by eastend0002
| 2007-07-30 20:00
| 美術&絵画